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2020.07.08基礎知識
固定価格での買取期間終了により、太陽光発電の用途を売電から自家消費に移行して、蓄電池を設置する人が増えています。そのため、最初から太陽光発電の設備と蓄電池を同時に導入するのも一つの選択肢です。
太陽光発電設備に蓄電池を導入するかどうかは、設備のみを導入した場合と蓄電池を併用した場合、それぞれを比較した上で選ぶことが大切です。
そこで本記事では、蓄電池の仕組みやメリットとデメリットについて詳しく解説していきます。
太陽光発電は、太陽光パネルによって発電された電気が、パワーコンディショナによって利用可能な電力に変換される仕組みです。
しかし、太陽光発電パネルやパワーコンディショナには、電気を貯める機能はありません。そこで、発電した電気を貯めておくために必要な設備が蓄電池なのです。
蓄電池は、電気を変換して貯めておけるだけでなく、充電によって何度も利用できます。そのため、発電効率の落ちる夜や朝のような時間帯、雨天のような悪天候時にあらかじめ蓄電池に貯めた電気を利用できます。
また、家庭用の太陽光発電施設に設置する蓄電池には、多くの場合でリチウムイオン電池が使われています。リチウムイオン電池には、以下の特徴があります。
リチウムイオン電池は、以上のような点で優れているため、蓄電池だけでなくノートパソコンやスマートフォンなどの電子機器に幅広く利用されています。
では、蓄電池は太陽光発電にとって必須なのでしょうか?次からは太陽光発電のみ設置した場合と蓄電池を併用した場合のメリット・デメリットをそれぞれ解説しますので、蓄電池の必要性を考えてみましょう。
蓄電池のみ設置する場合でも、夜間電力をうまく使用すれば電気代削減が可能です。「料金プランってそんなに影響があるの?」と思われたかもしれません。以下、電気代削減の仕組みを解説します。
家庭用蓄電池を導入することで電気代がお得になる理由は、昼間電力と夜間電力の料金の差にあります。電力会社から購入する夜間電力が、昼間電力より3割以上が安い電気料金プランが多数存在しています。
昼間より安い夜間電力を買って蓄電池に貯めておき、日中に使用すると、割高な昼間の電力を買わずに済み、電気代削減につながります。
夜間電力が昼間電力より安い理由は、人々の活動時間と電力会社の電力供給調整にあります。 一日に消費される電力量は、働く人が多い昼間に大きく増加し、夜間にかけて少なくなっていきます。
電力会社は、電気の消費量が多い昼間に合わせて、大量の電気を供給します。その為、消費量が落ち着く夜間には電力が余ってしまいます。電力会社は、消費される電気が昼間に偏りすぎないよう、夜間の電気が安い電気料金メニューを用意して、夜中にも電気を使用してもらう施策を行っています。
夜間の安い電気をうまく使えば、効率よく電気代を抑える事が可能です。
例えば関西電力では、夜間帯(23時~ 翌7時)の電気が安い「はぴeタイムR」という料金プランがあります。このプランでは、10時~17時の電気料金が1kWhあたり26.3円ですが、23時~翌7時の電気料金が1kWhあたり15.2円と割安なります。
夜間に電気をよく使う方なら、こういったプランはとてもお得になります。このように、ライフスタイルに合わせて料金プランを選べば、節電効果が期待できます。
料金プランを考える事で、電気代を安く使える事が分かりました。さらに「太陽光発電×蓄電池×料金プラン」で電気代削減が可能です。
また、太陽光発電の卒FITの出口戦略としても注目されている蓄電池ですが、太陽光発電と蓄電池を組み合わせた場合のメリットはあるのでしょうか。
太陽光発電システムは、天気や時間帯によって発電量が変わります。状況によって電力を使い分けることで、電気代節約に繋がります。
天気が良く、太陽光パネルからの発電量が多い日は、その電力を昼間に自家消費することで、昼間の割高な電気を買わずに済みます。
太陽光パネルから発電した電気が余った場合は、その電気を蓄電池に溜めておけば、天気が悪く太陽光パネルからの発電量が少ない日に使用できます。
「太陽光発電×蓄電池×料金プラン」の電気代削減例として、次の条件で卒FIT後の15年間のシミュレーションを考えます。
設備なし | 設備あり | |
年数 | 15年 | 15年 |
電気料金 | 4,339,618円 | 1,607,581円 |
電気料金削減額 | 0円 | 2,732,037円 |
(※太陽光・蓄電池経済診断ツール「エネがえる」による)
(※シミュレーション結果は電気使用量や年間発電量などの条件によって変動します。)
この条件の家庭と蓄電池に最適なプランとして、料金プランを「オプテージ」の「eo電気スタンダードプラン」に変更した場合、最大270万円以上の実質電気代削減という結果になりました。
この削減額の内、蓄電池による削減額は946,980円です。本体の価格を差し引いても、蓄電池の1日あたりの実質負担額は約195円になります。
生命保険は1日あたり500円以上、自動車保険は1日あたり300円以上掛かるものが多いことからも、蓄電池は少ない費用で「停電保険」として非常時に備えられると言えます。
太陽光発電による自家発電と蓄電池の併用で余った電気を貯めておけば、もしもの停電時にも電気を使用できるという安心に繋がります。
近年、豪雨・台風・地震といった自然災害による大規模停電が相次いで発生しました。
蓄電池を導入と電力プランの見直しを行うことで、実質の経済負担を抑えながら防災・停電対策が可能になります。いざという時でも冷蔵庫の中の食料を使って調理することや、エアコンによる空調が可能なことは、家族の心身の状態を少しでも良好に保つ手助けになります。
一方で、蓄電池の導入には以下のようなデメリットがあるため注意が必要です。
1つずつ解説していきます。
家庭用の蓄電池によく用いられるリチウムイオン電池は、高性能である代わりに高額です。蓄電池を導入するには、100〜200万円ほどの費用が追加でかかるため、太陽光発電設備と同時に設置すると200〜300万円前後の費用が必要になります。
一方で蓄電池を導入する際は、太陽光発電設備と同じようにローンの利用が可能です。蓄電池で節約できた電気代を考慮すると、実質の負担が月々数千円ほどで設置できる場合もあるため、返済シミュレーションを入念に確認したうえで導入しましょう。
蓄電池は、充電や放電をするたびに劣化していき、充電可能な容量が減少していきます。久性能の高いリチウムイオン電池でも経年劣化は起こるため、設置後は一定周期で交換しなければなりません。
交換する頻度は電池の種類や設置環境によって変わりますが、10年以降で交換が必要な時期が近づいてきますが、多くの蓄電池の場合で設置してから10年〜15年の保証期間があります。
もちろん、蓄電池を導入せずに太陽光発電のみを設置する選択肢もあります。その場合のメリットは、以下の2点です。
太陽光発電のみを設置するメリットは、以下の2点です。
家庭用太陽光発電を設置するときは、出力が5kWhの場合で設備費用と工事費用などを合わせて150〜180万円ほどの費用で設置可能です。蓄電池も設置すると、追加で100〜200万円の費用が必要なため、太陽光発電設備のみを設置することで初期費用を抑えられます。
また、太陽光発電設備のみであれば、自宅の屋根のような開いたスペースに設置できるため、あらためて設置場所を確保する必要はありません。
太陽光発電設備のみだと、余剰電力を貯められず全て売電する必要があるため、以下2点のデメリットが発生します。
固定価格での買取制度が終了した後は、電力会社と個別契約することで、引き続き余剰電力の売電が可能です。しかし固定価格買取制度での買取価格が2020年時点で21円/kWhなのに対し、電力会社での個別契約では平均で7〜9円/kWh程度と大幅に下がります。
また、余剰電力を貯めて置けないことで、夜の時間帯や雨天の日などは発電ができなくなります。その結果、地震や台風などの災害によって電力会社の電気供給がストップしたときに日常生活に支障が発生するのです。
例えば、冷蔵庫が止まることで、食材が傷んでしまう可能性があります。さらに夏場や冬場にエアコンが使えないことで、身体への負担も大きなものになってしまいます。
太陽光発電とセットで語られることが多い蓄電池ですが、蓄電池単体での導入も可能です。蓄電池のみ設置した場合のメリットやデメリットを解説します。
太陽光発電を設置せず蓄電池のみの設置でも、夜間の安い電力を貯めて昼間に使用することが可能です。
こうすることで、電力会社から昼間の割高な電力を購入せずに済むため、電気代の削減が期待できます。一般的な4人世帯の1か月の電気料金はおよそ12,000円ですが、蓄電池の導入だけでも3,000円から4,000円の削減が見込めます。
上記の蓄電池の運用をする際に、夜間の電気が安い電気料金プランに変更しないと効果が出ない可能性が高いため、電気料金プランの切り替えを合わせて行いましょう。
蓄電池を導入するメリットの1つとして、「停電しても電気が使える」ことがあります。
太陽光発電と蓄電池をセットで導入していれば、停電時に蓄電池から放電することで家の電気を使用できます。さらに太陽光パネルで発電した電気を蓄電池に貯めてまた使用することも可能です。
蓄電池のみの設置の場合、停電が起きた時点で蓄電池に貯まっている分の電気を使い切ってしまうと、再度充電する方法がないため、結局電気が使えなくなってしまいます。蓄電池単体では、長引く停電に対応することは難しいでしょう。
既に太陽光発電設備を導入済みで、蓄電池の設置を考えている方は、注意点が2つあります。
全ての蓄電池の機種が太陽光システムと連携できるわけではないので、注意が必要です。 では、どの蓄電池なら大丈夫なのか?という点については、事前に業者とよく相談するのが確実です。
既に設置している太陽光システムのメーカーとは別のメーカーの蓄電池を選ぶと、現在の太陽光システムの保証が切れてしまう可能性があります。
太陽光システムと同じメーカーの蓄電池を購入する時はともかく、別々のメーカーで揃える時は保証についての確認が必要です。
蓄電池の設置に伴うコストを軽減するために、国や自治体からさまざまな補助金制度が実施されています。しかし2020年4月以降に利用できる可能性が高いのは、ZEH住宅を対象にした補助金でしょう。
ZEH住宅とは、Net Zero Energy House(ネットゼロエネルギーハウス)の略称で、住宅が使用するエネルギーの消費の抑制・削減を目指した高機能住宅のことです。
ZEH住宅を新築した場合や、蓄電池を設置した場合は、以下のような補助金が受けられます。
ただし、太陽光発電や蓄電池を設置しただけでは、ZEHの条件を満たせません。高断熱壁材のようなCo2排出削減に繋がるものや、家庭内の電力管理システムであるHEMS(ヘムス)を搭載するなど、一定の条件を満たす必要があります。
ZEH住宅について詳しく知りたい人は、こちらのページも併せてご確認ください。
ただし2020年(令和2年度)のZEH住宅補助金は、前年と同じく一般社団法人環境共創イニシアチブによって実施されることが決定しているものの、詳細なスケジュールは未定です。
今後の状況については、一般社団法人環境共創イニシアチブのホームページを随時確認してみてください。
太陽光発電と蓄電池を同時に導入すると、設備を設置するための工事が1回で済むだけでなく、太陽光発電と蓄電池のパワコンを一つにまとめられます。
太陽光発電と蓄電池を別々に導入した場合、太陽光発電用のパワコンと蓄電池用のパワコンをそれぞれ準備しなければならず、スペースがさらに必要です。また、あとで太陽光発電と蓄電池の両方に対応したハイブリッド型のパワコンを導入すると、設置費用やそれまで使用していたパワコンの廃棄費用がかかります。
そのため、太陽光発電と蓄電池を同時に導入すると、設置にかかるコストを抑えて太陽光発電を始められるのです。
蓄電池設置お任せ隊は、高精度のシミュレーションとお得な電力プランをご提案し、お客様が無理なく蓄電池を設置できるよう、サポートいたします。太陽光発電設備や蓄電池の設置をご検討中の方は、お気軽にご相談ください。
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