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2020.02.04基礎知識
家庭用太陽光発電を行なっている方にとって、2019年は節目の年となりました。2019年11月以降、FITの10年固定買取保証期間を終了するご家庭(卒FIT)が出始めたためです。
FITの買取期間がすでに終わったご家庭、あるいは間もなく終了するご家庭にとって、発電した余剰電力はこれからどうなるのか、売電収入はどのようになっていくのかは、大きな心配ごとではないでしょうか。
実は、FITの買取期間終了の後、何も手を打たなければ、契約内容によっては損失が出てしまうご家庭もあるのです。この記事では、卒FIT後にどのような選択肢があるのか、ご自身にとっての最適なプランとは何か、発電した電力を最大限活用するための方法をご紹介していきます。
FIT(固定価格買取制度)は、再生可能エネルギーで発電された電力を、国が定めた価格で一定期間、電力会社が買い取ることを義務づけた制度です。家庭用太陽光発電で発電された電力は自宅で消費され、残りは余剰電力として電力会社が買い取ります。
太陽光発電を普及させるために、国は、余剰電力を一定期間高値で買い取ることを保証していました。この高値での買取を保証された「一定期間」というのが、10年間なのです。
買取保証期間を終え、FITによる買取制度から外れることを、通称「卒FIT」と言います。買取制度が開始された2009年からちょうど10年目にあたる2019年11月は、「2019年問題」と呼ばれ、固定価格での買取保証期間が終了する、つまり卒FITする家庭が出始めました。
資源エネルギー庁の発表によると、2019年だけで、約53万件もの家庭用太陽光発電が卒FITの対象となりました。
当然、2020年以降も多数の案件が、続々と買取期間の終了を迎えていくことになります。卒FITを迎える家庭用太陽光発電は、2023年までに累積165万件にのぼると資源エネルギー庁は試算しています。
ここで気をつけたいのは、卒FITするタイミングは、ご家庭それぞれによって異なるということです。
2009年12月に売電を開始した方は2019年12月、2010年1月に売電を開始した方は2020年1月に買取期間が終了するなど、売電開始時期によって卒FITのタイミングは異なります。
2019年にクローズアップされた家庭用太陽光発電の「2019年問題」ですが、いったい何が問題なのでしょうか。
余剰電力の買取制度がスタートした2009年に売電を開始した方の売電価格は、48円/kWh(キロワット時)でした。
2012年では42円/kWh、2014年の場合は37円/kWhと、徐々にその売電価格は下降していったものの、初期に売電を開始した場合の売電価格は相場からしてもかなりの高値でした。
2019年に入り、各電力会社が提示した卒FIT後の買取価格は概ね7~8円となりました。これまで48円で売電していたご家庭では、売電収入が7分の1程度に大きく下がってしまいます。
しかし、本当に問題なのは、初期に太陽光発電を始めた方は、FIT買取期間終了後の売電価格を「24円」で想定してシミュレーションしていたということです。
これは、経産省が、FITが終わる11年目以降の売電価格を24円/kWhと想定して発表していたことによります。
卒FIT後の売電価格が、想定していた24円から一気に「7~8円」に下落してしまったことで、多くのご家庭では、太陽光パネル設置当初に行なったシミュレーション通りに採算が取れなくなってしまっているのです。
実は、2016年以降に太陽光発電を始めた場合、2019年問題は関係がないと言われてきました。
それは、2016年に入り、経産省が卒FIT後の想定売電価格を「24円」から「11円」に改めたためです。2016年度以降に太陽光発電を設置した人は、あらかじめ、卒FIT後の売電価格を「11円」としてシミュレーションしてきたのです。
しかし、電力会社による実際の買取価格は、その11円をも下回る「7~8円」となっていたため、2016年以降に太陽光発電を始めた方にとっても他人事ではなくなりました。太陽光パネルを設置した方からすると、たまったものではありません。
ではFIT終了後、発電した電力はどうなっていくのでしょうか。
卒FITすると、国の制度による買取対象からは外れますが、新たに余剰電力を買い取る業者と契約を結ぶことで引き続き売電することが可能です。
FIT終了の対象者には、6か月~4か月前を目安に、電力会社から買取期間の満了時期や必要な手続きなどについて記載された通知書が届きます。まずは太陽光発電の売電期間を正しく把握しましょう。その上で、ご自身の状況に合わせて最適なプランを選択していく必要があります。
卒FIT後には大きく分けて次の3つの選択肢があります。
まずは、これまでどおり、大手電力会社に買い取ってもらう方法です。電力会社大手10社の余剰電力買取価格は、次のようになっています。(2020年1月時点)
北海道電力 | 8円/kWh |
東北電力 | 9円/kWh |
東京電力 | 8.5円/kWh |
中部電力 | 7円/kWh(プランによる) |
北陸電力 | 8円/kWh(プランによる) |
関西電力 | 8円/kWh |
中国電力 | 7.15円/kWh |
四国電力 | 7円/kWh(プランによる) |
九州電力 | 7円/kWh/td> |
沖縄電力 | 7.5円/kWh |
電力会社による買取価格は概ね7~8円となり、残念ながら、これまでの売電価格からは大きく下がります。
しかし、余剰電力を電力会社が預かり、電気料金から差し引くプラン(四国電力「四電ためトクサービス」)や、買取金額にWAONポイントをプラスして還元するプラン(中部電力「WAONプラン」)など、電力会社によってはお得なプランを用意している場合もあります。
次に、電力大手10社以外の新しい電力会社、いわゆる「新電力会社」による卒FIT買取サービスを利用する方法です。
ガス会社、石油元売、鉄道会社、通信会社などさまざまな業種が新電力会社としてサービスを提供しています。買取価格も8円~11円/kWhが中心で、大手電力会社よりも高く設定されていることが特長です。
ただ、地域によっては何十という新電力会社があり、最適なプランを見極めるのはなかなか大変です。選択するプランによっては逆に損をしてしまうケースもあるため、今後の売電収入や電気料金を慎重にシミュレーションした上で選択しましょう。
最後に、自宅に家庭用蓄電池を導入して、電気を自家消費する方法です。実際、2019年以降、卒FIT対象者による家庭用蓄電池の導入は急増しています。
これまで蓄電池は導入にかかる費用がネックでしたが、少し前に比べると蓄電池の価格は格段に安くなりました。また、リチウムイオン電池の技術革新が進んだこともあり、蓄電池の性能や耐久性は飛躍的に向上しています。
太陽光発電システムと連携させることで、電気代を賢く削減でき、災害時の非常電力にもなる、今もっとも注目される方法と言えるでしょう。
東日本大震災以降、電気料金は値上げが続きました。2014年になり、原油価格の下落などでいったんは低下しましたが、ここ最近では再び右肩上がりに上昇を続けています。
再生可能エネルギー発電の普及を目的に導入された「再エネ賦課金」や、原油高の影響から、当分の間電気料金は値上がりを続けると予測されます。今後ますます家計を圧迫するのは必至です。
FITによる買取保証期間中は、自宅での電気の使用量をできるだけ抑え、発電した電力はより多く売電したほうがお得でした。
しかし、26円/kWh前後という現在の高い電気使用料金を考えると、7~8円/kWhといった安い売電価格で電気を売り続けるよりも、できる限り自家消費し、電力会社から買う電気をゼロに近づけるのが、今もっとも賢い選択なのです。
さらに、現在は、以前と比べて格段に蓄電池の導入メリットが出やすい状況であると言えます。その理由を見ていきましょう。
蓄電池を導入するメリットは、電気代を安くできることです。
一般的に蓄電池を導入すると、電力会社との契約を深夜料金が安く設定された料金プランに変更します。こうしたプランで契約し、電気代の安い夜間、蓄電池に電気を貯めておくのです。
日射量の多い季節は太陽光発電で発電した電気を蓄電池に貯め夜間の電力を賄うことが可能です。
たとえ雨の日や日射量が少ない季節であっても、蓄電池があれば、価格の安い深夜電力を購入して貯めておき一日中使用することが可能になるわけです。
基本的には太陽光発電で発電した電気を自家消費し、足りないときは価格の安い深夜電力を貯めて使用することで、電気代を大幅に削減することできます。
2つ目に、家庭用蓄電池が安く、高性能になったことです。蓄電池のデメリットは、なんといっても初期費用の高さでした。
しかし、2018年に経産省が発表した調査データによると、2008年から2018年の10年で、リチウムイオン蓄電池の1キロワット時あたりの価格は19.4万円から10.1万円へ半額近くにまで下落していることがわかります。
(参照:経済産業省「生産動態統計年報<機械統計編>」より)加えて、リチウムイオン蓄電池の開発技術が向上し、蓄電効率や耐久性は大幅にアップしました。
さらに、蓄電池の商品ラインアップが増え、容量や機能など、各ご家庭の生活スタイルに合わせた商品を選択できるようになったことから、導入メリットが出やすくなったのです。
蓄電池の導入が加速的に進んでいる背景の一つに、災害への対策があります。
2019年9月、関東を襲った台風15号により千葉県を中心に大規模停電が発生しました。電気の復旧までに1ヵ月以上かかった地域もあり、自然災害に弱い日本の電力事情が露呈しました。また、地球温暖化による降水量の増大や台風の大規模化も懸念されています。
太陽光パネルだけでは自然災害時の対策として不十分ですが、蓄電池を併せて設置することで、長期間の停電が起きたときも、非常電源として機能します。
実際、経済的観点よりも、防災対策の観点から蓄電池による自家発電が可能になれば、災害時でも電気に困る必要はありません。
最後に、自治体によっては蓄電池導入のための補助金を利用できる点です。一例として、東京都では以下のような補助金があります。
事業名 | 「家庭に対する蓄電池等補助」 |
申請期間 | 令和2(2020)1月15日~令和2(2020)年3月31日まで |
補助金 | 機器費の2分の1 |
要件 | ・国が平成28年度以降に実施する補助事業における補助対象機器として、一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)に登録されているもの ・太陽光発電システムと同時導入または既に設置されていること ・蓄電池システムの機器費は蓄電容量1キロワットアワー当たり20万円以下であること |
すべての都道府県や市区町村で助成を行なっているわけではありませんが、お住まいの自治体の補助金を調べてみてはいかがでしょうか。
ただし、これらの補助金には上限があり、先着順で締め切ってしまうため、気になる方はこまめな情報収集に努めましょう。
¥卒FITの方はもちろん、防災観点から見ても、蓄電池の導入は拡大してお導入するデメリットよりも、導入しないデメリットの方が多くなっております。
蓄電池は、太陽光発電システム以上にメーカーや機種選びが難しいと言われています。
家庭の状況にあった蓄電容量はどれぐらいか、機能面で何を重視すべきかなどを考えながら、多くのメーカー・機種の中から選択していかなければなりません。
また、太陽光発電との相性が良いとして注目されるハイブリッド蓄電池なども誕生していますが、配線工事が複雑で、知識が不十分な業者が設置したためにうまく作動しなかったというトラブルも報告されています。
蓄電池の導入価格は100万円~300万円と振れ幅が大きいことに加え、蓄電効率は設置された太陽光発電システムの状況にも影響を受けることなど、蓄電池の費用をどのくらいの期間で回収できるか、ご家庭によって事情はまったく異なってきます。
信頼できる販売業者を見極め、しっかりとシミュレーションを行なってもらった上で、慎重に導入を検討していくべきでしょう。
光熱費は一生払い続けるものです。その生涯コストを下げ将来の負担をいかに少なくできるかが、豊かな資産形成において重要なカギになります。
下がり続ける売電価格に対し、電力会社から購入する電気料金は上がる一方です。
蓄電池の価格が下がり、蓄電効率がアップした今、太陽光発電に蓄電池を併せて導入し、余剰電力を最大限利活用していくことを検討してみてはいかがでしょうか。
蓄電池設置お任せ隊では、16000件以上の住宅・太陽光発電システムの施工を行って参りました。
住宅と電気工事に精通しているからこそ、1件1件ご自宅の暮らしに合わせた最適な蓄電池をご提案させて頂いております。お気軽にご相談ください。
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